KAME プロジェクト便り

山本和彦
IIJ 技術研究所
BSD Magazine No. 8 (2001/06)


第8回 MIP6 と ISC

今回は、主に MIP6 相互接続テストと ISC との交流について報告します。


MIP6 相互接続テスト

前回、MIP6 相互接続テストについて触れましたが、 それからさらに 2 回ほどテストの機会がありました。

1つは、Connectathon 2001 です。 Connectathon は Sun が主催するイベントで、 さまざまなプロトコルの相互接続性を検証します。 今年は、3月1日から 8 日にかけてサンノゼで開催されました。

KAME の MIP6 に関係する組織としては、 慶應大学(SFC)と NEC、Ericsson、 そして検証ツールを提供する TAHI プロジェクトが参加しました。

それ以外の特筆すべき参加社としては、 Microsoft でしょうか。Windows XP には、 移動ノードになる機能はありませんが、 移動ノードと通信する機能は提供されるそうです。

Connectathon の詳細については、 ここを参照して下さい。

もう 1 つのテストは、Connectathon の練習として、 2月19日に SFC で開催しました。 両テストの結果としては、相互接続性が着実に向上してきています。

ここで、MIP6 に関するよいニュースと悪いニュースをお伝えしましょう。

よいニュースは、新しい仲間が加わったことです。 KAME の元になった Hydrangea の最初のプログラマである島さんが IIJ に転職し、 KAME の core メンバーになりました。 今後は、主に MIP6 のマージの作業を担当していただく予定です。

悪いニュースは、MIP6 の標準化に暗雲が立ち込めて来たことです。 ミネアポリスで開かれた IETF において、 IESG が「MIP6 の認証の部分が複雑過ぎる」という指摘をしました。 これでまた RFC になるのが遅れそうな雰囲気です。


ISC

WIDE プロジェクトは、研究を通じてさまざまな組織と交流しています。 BIND (あるいは INN や DHCP) を作成している ISC(www.isc.org)も、その 1 つです。

ISC と WIDE プロジェクトの交流を深め、 また BIND の IPv6 に関する機能を向上させるために、 神明さんが 1 ヶ月ほど、ISC に滞在しました。

KAME プロジェクトでは、エンジニア間のマブダチ度を、 ご飯を何回一緒に食べたかで計ります。 神明さんと ISC の方々とのマブダチ度はかなり向上したようです。

さて、DNS には以下のようにたくさんの課題があります。

これらすべてに神明さんが関われるとは思いませんが、 ISC と仲よくなるための大使として、役割は大きいと考えています。


課外活動

core メンバーは、毎年春に BBQ を楽しむことにしています。 今年は、N+I が終わって一息ついたころになりそうです。 この BBQ は「ジャイアン祭」と呼ばれています。 なぜジャイアン祭というのかは、次の回にお話しします。