KAME プロジェクト便り

山本和彦
IIJ 技術研究所
BSD Magazine No. 14 (2002/12)


第14回 ロードマップに対する自己評価

今回は、過去三ヶ月間に起った出来事についてまとめます。


進捗

今年度のはじめに、第3期のロードマップを公開しました。 半年経ちましたので、この程自己評価と見直しをしました。

進捗は以下の通りです。

DNS サーバ探索
DHCPv6 ベースは実装完了。Anycast ベースも実装完了
DHCPv6
実装完了
ICMPv6 name lookup
暫定実装あり。最終仕様待ち
SSM (Source Specific Multicast)
実装済み。テスト中
Multicast DNS
暫定実装あり。最終仕様待ち
スコープ付きアドレスの経路制御
作業中
X Window System
実装中
VRRP (Virtual Router Redundancy Protocol)
FreeBSD での実装終了。他 OS へ移植中
ルータ選択
一部実装済み
ISATAP
未着手
Mobile IPv6
ドラフト 18 を実装中

交流

8月3日から9月4日にかけて、KAME プロジェクトの神明さんが、 BIND で有名な ISC(Internet Software Consortium) に再び滞在しました。

今回の滞在の目的は、知り合いを増やすこと、 作業体制の確立、BIND 9 の改良などです。

IPv6個別アドレスによる待ち受けや、 仕様から削除された機能(A6など) の整理といった成果があがりました。


お祝い

10月は政府が定める情報化月間だそうです。 KAME プロジェクトは、平成14年情報化促進企業等に選ばれ、 総務大臣から表彰されました。

賞状のスキャンイメージが見たい方は、 このページをご覧下さい。


ひと

IETF IPv6 分科会の議長を長年務めた Steve Deering 氏が、 Cisco から長期休暇を得て、議長を退きました。 今後 IPv6 分科会は、Nokia の Bob Hinden 氏と Wind River の Margaret Wasserman 氏で運営されていきます。

IPv6 への移行方法やツールに関して議論していた IETF ngtrans 分科会がその役割を終え、終了しました。

これに代って運用を議論するための v6ops という分科会ができ、 KAME プロジェクトの萩野さん(いとぢゅん)が議長に選出されました。 忙しさがさらにまし、テンテコマイのようです。


行事

発売直後で申し訳ありませんが、 今年も Global IPv6 Summit in Japan が開催されます。 12月18日が 4 つのワークショップ。 その一つは、萩野さんの「IPv6 Network Programming」です。

19 日が本会議であり、 3 つのパネルが設けられます。 家庭ネットワークに関するパネルでは、 山本がコーディネータを務めます。

プログラムの詳しい内容については、 このページを参照して下さい。

事前登録がなくても参加できます。 パシフィコ横浜でお会いしましょう。