KAME プロジェクト便り

山本和彦
IIJ 技術研究所
BSD Magazine No. 11 (2002/03)


第11回 活動期間の延長と引っ越し

KAME プロジェクトの将来に関する驚くべき秘密とは何か? 今回はそのご報告です。


活動期間の延長

すでにいろいろな場所でリークされた感もありますが、 活動期間を 2 年間延長することになりました。

具体的には、2002年3月一杯で終了する第2フェーズに続き、 2002年4月から2004 年3月までの第3フェーズを設けます。

第1フェーズの目標は「高品質な参照コードの提供」、 第2フェーズは「ビジネスへの展開」が目標でした。 これらの目的は、ほぼ達成できたと考えています。

第3フェーズでは、「IPv6 の普及」をゴールに掲げ活動していきます。

2002年は、IPv6 の特徴を活かしたアプリケーションが出てくると期待しています。 これについては、時期が来ましたら改めて報告します。


引っ越し

KAME プロジェクトのオフィスは、 これまで慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの近くにありました。 第1フェーズでは、都会の喧騒から離れた場所でプログラミングに打ち込むのは、 大変有意義なことでした。

しかしながら、IPv6 が著しく注目されるようになり、 core メンバーがプログラミング以外の活動で忙しくなってくると、 遠い藤沢へ集まるのは非効率になってきました。 実際、core メンバーがオフィスにいる回数は、 第2フェースの後半では極端に少なくなり、これは反省点として挙げられています。

そこで、東京に近い場所にオフィスを引っ越すことが、 長い間検討されていました。 引っ越しには、もう一つの狙いがあります。 それは、USAGI プロジェクトと同じオフィスを持って交流を深め、 開発効率を上げることです。

引っ越し先としていくつか検討したところ、 慶応義塾大学 K2 キャンパスに決定しました。

JR 新川崎駅から徒歩 10 分のところにあります。 研究用のキャンパスであり、学部の学生はいません。 光ファイバ、ゲノム、電気自動車などの研究室が入っているようです。

2001年12月は、Internet Week や IETF のため多忙でしたので、 年明けに引っ越しすることになりました。 2002年1月15日に荷造りをして、 翌日の朝に引っ越し業者に荷物を渡し、同日の夕方受け取りました。

まだ不慣れな部分もありますが、KAME & USAGI core の全員分の席と、 ミーティング部屋、さらに IPv6 のショールームを確保できまして、 とても満足しています。なんといっても建物が新しく綺麗ですので、 よい創作活動ができそうです。

なお、引っ越しを機に、約4年間働いてくれたサーバ群を新しいマシンに置き換えました。 最近、ディスクの不調でサーバがよく落ちていましたので、 これで安定してくれることを願います。


TAHI イベント

2002年1月23日から26日にかけて、パシフィコ横浜にて、 第3回 IPv6 相互接続テストイベントが、TAHI プロジェクトによって開催されました。

テスト内容は、IPv6 の最小要求仕様、 PIM sparse mode、IPsec、Mobile IP6 などです。 Mobile IP6 のテストケースについては、フランスの IRISA からの協力がありました。

参加人数は約 80 名と盛大になりました。 参加団体を知りたい方は、 TAHI プロジェクトのホームページから、 プレスリリースを入手して下さい。

参加者の方は、このイベントにとても満 足して頂けたようです。