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1 はじめに読んでね

Mew とは、テキスト・メールやマルチメディア・メール(MIME)、ニュース、セ キュリティ機能(PGP、S/MIME、SSH、SSL)を便利に利用するためのユーザインター フェイスです。最新の検索サービスとも連動します。

Mew は 「Messaging in the Emacs World」 の略です。先頭の M は大文字で表 記し、「みゅう」と読みます。M で始まるかわいらしい単語を選んだ結果 Mew になりました。決して漫画の題名や某アイドルの歌、あるいは、関西の会社に 因んでいるわけではありません。:p


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1.1 Mew の特長

Mew バージョン 6.9 の特長を以下に示します。


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1.2 Emacs のバージョン

Emacs 26.1 以降を使って下さい。これらより前のバージョンや XEmacs は、サ ポートしていません。


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1.3 モード

Mew には次の 7 つのモードがあります。

Summary モード

メッセージの一覧を表示し選択するモード。

Virtual モード

単数あるいは複数のフォルダからある条件に合致したメッセージを取り出し、 仮想的に 1 つのフォルダにしたモード。Summary モードに似ている。 セレクションやスレッドと呼ばれる。

Message モード

メッセージの内容を表示するモード。

Draft モード

メッセージの送信、返答、転送を準備するためのモード。

Header モード

既存のメッセージのヘッダのみを編集し送信するためのモード。

Edit モード

既存のメッセージを編集し、新しいメッセージを作成するためのモード。

Addrbook モード

アドレス帳にエントリを登録するためのモード。


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1.4 フォルダの種類

Mew の用語では、メッセージが届く場所を「メールボックス」と呼びます。メー ルボックスの種類としては、ローカルのメールボックス、POP サーバ、IMAP サー バ、および NNTP サーバがあります。

また、Mew 自身がメッセージを格納する箱のことを「フォルダ」と呼びます。 フォルダ名は、一文字の記号からなる修飾子と文字列が連結された形式になっ ています。たとえば、「+inbox」というフォルダの修飾子は「+」です。

Mew のフォルダには、「ローカル・フォルダ」と「リモート・フォルダ」の 2 種 類があります。

ローカル・フォルダとは、Mew が動いているコンピュータに「本物」が作られ るフォルダです。そのフォルダに格納されるメッセージも本物です。(ですから、 もしそのフォルダのメッセージを消してしまうと復元できません。)

ローカル・フォルダの修飾子は "+" です。以下に特殊なローカル・フォルダを 挙げます。

+inbox

ローカルのメールボックスや POP サーバに届いたメッセージを、ローカルに移 動させて最初に保存するためのローカル・フォルダ。メッセージを整理する場 合は、"+inbox" から他のローカル・フォルダに移動させることになる。

+draft

書きかけのメッセージを保存しておくローカル・フォルダ。

+queue

書き終わってメールの配送に適した書式に変換されたメッセージが溜るローカル・ フォルダ。"+queue" のメッセージは、いずれ SMTP によって送信される。

+postq

書き終わってニュースに投稿するのに適した書式に変換されたメッセージが溜る ローカル・フォルダ。"+postq" のメッセージは、いずれ NNTP によって送信さ れる。

リモート・フォルダとは、サーバ側にあるフォルダをローカルにコピーしたも のです。本物のメッセージはあくまでサーバ側にあり、ローカルにはメッセー ジのコピーがキャッシュされます。

利用できるリモート・フォルダの修飾子を以下に示します。

%

IMAP のフォルダ。例:"%inbox"

$

POP サーバのサーバ側のフォルダ。例:"$inbox" (POP サーバのフォルダは 1 つしかないので、"$" で始まるリモート・フォルダは "$inbox" のみ。)

-

ニュースのニュースグループ。例:"-fj.mail.reader.mew"

サーバが異なれば、リモート・フォルダの実体も異なります。複数のサーバは、 ケースという機能を使って指定します。詳しくは、See section 送受信の動作変化 を参照して 下さい。あるケースに対するリモート・フォルダは、"case:folder" のように、 フォルダ名の前にケース名を付けて指定します。ケースが "default" である場 合は、"case:" の部分を省略可能です。

ケースと修飾子の組は、あるメッセージが属す世界を構成しています。メッセー ジは、それが属す世界の中を移動できます。受け取ったメッセージは、後で探 しやすいように、適切なフォルダに移動させて保存します。この整頓の方法に ついて、See section 楽々整理整頓 を参照して下さい。

なお、POP サーバには "$inbox" というフォルダしかありませんから、"$" の 世界でメッセージを移動させることはできません。また、ニュースの記事は自 分のものではありませんから、"-" の世界でもメッセージの移動は不可能です。

世界を超えてメッセージを移動させたい場合は、コピーします。ただし、コピー 先はローカル・フォルダに限定されます。この方法は、See section メッセージの取得 で説 明されています。

フォルダのリストを作成しておくと、フォルダ名に対し補完が利用できて便利 です。フォルダのリストを作成する方法は、See section 状態の更新 を参照して 下さい。


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1.5 初期設定

Mew を起動するには、組織の設定ファイルか自分の "~/.emacs" に以下の設定 が必要です。

(autoload 'mew "mew" nil t)
(autoload 'mew-send "mew" nil t)

;; Optional setup (Read Mail menu):
(setq read-mail-command 'mew)

;; Optional setup (e.g. C-xm for sending a message):
(autoload 'mew-user-agent-compose "mew" nil t)
(if (boundp 'mail-user-agent)
    (setq mail-user-agent 'mew-user-agent))
(if (fboundp 'define-mail-user-agent)
    (define-mail-user-agent
      'mew-user-agent
      'mew-user-agent-compose
      'mew-draft-send-message
      'mew-draft-kill
      'mew-send-hook))

Latin-1 のために、Emacs を –unibyte オプション付で起動しているか、環境 変数 EMACS_UNIBYTE と共に起動している場合、以下の設定を "~/.emacs" に入 れて下さい。

(set-language-environment "Latin-1")
(set-input-method "latin-1-prefix") ;; or "latin-1-postfix"

Latin-1 のために、以下のような設定をしているなら、削って下さい。これは Latin-1 にカスタマイズするための方法としては推奨されていませんし、この 設定では Mew は正しく動きません。

(standard-display-european 1)

Mew は起動時に、"~/.mew.el" を読み込みます。Mew に関する設定は、このファ イルに入れるとよいでしょう。

メールアドレスを指定するために、以下の設定が必要です。

;; (setq mew-name "your name") ;; (user-full-name)
;; (setq mew-user "user name of e-mail address") ;; (user-login-name)
(setq mew-mail-domain "domain of e-mail address")

SMTP を使ってメッセージを送信するためには、以下の設定が必要です。

(setq mew-smtp-server "your SMTP server")  ;; if not localhost

POP を使ってメッセージを受信する場合は、以下の設定が必要です。

;; (setq mew-pop-user "your POP account")  ;; (user-login-name)
(setq mew-pop-server "your POP server")    ;; if not localhost

メッセージの受信にローカルのメールボックスを利用したい場合は、以下のよ うな設定が必要です。

;; To use local mailbox "mbox" or "maildir" instead of POP
(setq mew-mailbox-type 'mbox)
(setq mew-mbox-command "incm")
(setq mew-mbox-command-arg "-u -d /path/to/mbox")
;; If /path/to/mbox is a file, it means "mbox".
;; If /path/to/mbox is a directory, it means "maildir".

IMAP を使ってメッセージを受信する場合は、以下の設定が必要です。

(setq mew-proto "%")
;; (setq mew-imap-user "your IMAP account")  ;; (user-login-name)
(setq mew-imap-server "your IMAP server")    ;; if not localhost

ニュースを読み書きする場合は、以下の設定が必要です。

;; (setq mew-nntp-user "your NNTP account")
(setq mew-nntp-server "your NNTP server")

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1.6 パスワード

メッセージを送受信したり、PGP や S/MIME を使ったりする場合には、パスワー ドを訊かれることがあります。パスワードを入力する前に以下の条件のどちら かが満たされていることを確認しましょう。

どちらの条件も満たされない場合は、パスワードを入力しないで下さい。入力す ると盗聴される恐れがあります。

パスワードを何回も入力するのが面倒な人は、パスワードを保存する機能を利用 して下さい。2 つの方法があります。

  1. パスワードをメモリに一時的に蓄える。ファイルには書き出さない。
  2. パスワードをメモリに Mew が起動している間中蓄える。Mew/Emacs の終了時に、 パスワードを暗号化しファイルに書き出す。

1. の機能を利用するには、以下のように設定します。

(setq mew-use-cached-passwd t)

2. の機能を利用するには、まず GnuPG をインストールします。GnuPG は、バー ジョン 1.x、2.1.23以降に対応しています。バージョン2.1.23以降を使う場合は、 "~/.gnupg/gpg.conf" に以下の設定を加えます。

no-auto-key-retrieve
auto-key-locate local

そして、以下のように設定します。

(setq mew-use-master-passwd t)

両方の変数が ‘t’ の場合、2. の機能が利用されます。

1. の機能:あらゆるパスワード(POP、PGP など)が一時的にメモリに保存され ます。パスワードが保存されている間は、パスワードの入力を省略できます。 保存されているパスワードは一定時間(通常は 20 分)が過ぎると消去されます。 ただし、保存されているパスワードが内部で利用されると、保存期間が延長さ れます(20 分に戻ります)。

2. の機能:Mew の起動時に、マスターパスワードを訊かれます。Mew はそのマ スターパスワードで、暗号化されているパスワードを復号化し、メモリに蓄え ます。たとえば、以前 POP のパスワードを入力していれば、それがメモリに蓄 えられていますから、次に POP のパスワードが必要な際、POP のパスワードの 入力を省略できます。はじめてマスターパスワードを利用する際は、確認のた めマスターパスワードを 2 回訊きます。また、たとえば POP のパスワードも 1 回だけ入力するように促されます。Mew の起動時に、間違ったマスターパスワー ドを入力することもあるでしょう。その場合、1. の機能を有効にしているなら、 1. の機能が使われます。有効でなければ、パスワードの保存機能は利用されま せん。

マスターパスワードを変更するには、Summary モードで ‘C-cC-m’ と入力 します。

メモリに保存されているパスワードは、暗号化されていません。そこで、1. ま たは 2. の方法を使う場合は、他の人に自分が起動した Emacs を触られないよ うに気をつけて下さい。もし席を空け、Emacs をよく知っている他の人に Emacs を操作された場合、パスワードを盗み取られる可能性があります。


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1.7 起動

Mew を起動するには、以下の方法があります。

M-x mew

Mew が起動していなければ、まず Mew を起動する。そして、メッセージを取得 するか、あるいは単にデフォルトのフォルダへ移動する。

まず、「修飾子」は ‘mew-proto’ とケースから決定される。 (See section 送受信の動作変化 を参照)

「修飾子」が ‘+’(ローカル・フォルダ)なら、‘mew-mailbox-type’ からメールボックスが決定される。(See section メッセージの取得 を参照) その他、すな わちリモート・フォルダなら、メッセージを取得するためのプロトコルが修飾子 に応じて決まる。

mew-auto-get’ が ‘t’ なら、到着したメッセージが非同期に取得さ れ、Summary モードへ一覧表示される。

mew-auto-get’ が ‘nil’ なら、修飾子によって決定したデフォルト のフォルダへ単に移動する。

C-uM-x mew

mew-auto-get’ の値を逆だと考えて、‘M-x mew’ を実行する。

C-xm

mail-user-agent’ が設定されている場合、Draft モードへ移行する。

Emacs で Mew を起動すると可愛い 2 匹の子が猫現れます。

なお、Mew を終了する方法は、See section 一休み を参照して下さい。


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