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3 メッセージを作成する

ここではメッセージの作成方法について説明します。

新しいメッセージを書くために、Draft モードに移行するには、次の手段があり ます。

  1. M-x mew-send’ と入力する。
  2. mail-user-agent’ が設定されている場合、‘C-xm’ と入力する。
  3. Summary モードで ‘w’ を押す。

すると、以下のようなバッファが用意されます。

To: 
Subject:
From: Kazu Yamamoto <kazu@example.org> 
X-Mailer: Mew version 6.5 on Emacs 22.3
----

これを Draft モードといいます。Draft モードにおいて、"—-" より上をヘッ ダ、下を本文と呼びます。

またメッセージへの返答(‘a’ や ‘A’)や転送(‘f’ や ‘F’) でも Summary モードから Draft モードへ移行します。

草稿は、+draft フォルダの下に作成されます。同時に複数の草稿を持つことが 可能です。

一旦用意した草稿を削除する方法については、See section 一休み を参照して下さい。

以下、Draft モードの使い方を説明します。


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3.1 ヘッダの補完

ヘッダでは ‘TAB’ に対し、以下のように各フィールド用の補完機能が割り当て られています。

<フィールド名の補完>

行頭の単語中で、しかも、上の行の最後が "," で終る継続行でなければ、 ‘TAB’ で ‘mew-fields’ に定義されているフィールド名を補完できま す。

To: kazu@example.org
R‘TAB

上記の場所で ‘TAB’ を押すと以下のようになります。

To: kazu@example.org
Reply-To: 

<フォルダ名の補完>

Fcc: などのようにフォルダを補完すべきところでは、‘TAB’ でフォルダを 補完できます。以下に例を挙げてみます。

Fcc: ‘TAB

"+" が補完されます。

Fcc: +‘TAB

TAB’ をもう 1 度押すと候補が表示されるので、候補を見ながら適切な文字 を入力します。

Fcc: +b‘TAB

候補が一意に定まれば補完されます。

Fcc: +backup

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3.2 ヘッダの循環的な補完

ヘッダでは、‘C-cTAB’ に循環的な補完機能が割り当てられています。循環 的な補完機能とは、あるリストのある値がそのリストの次の値に置き換えられる ことです。リストの最後は、最初につながっていると考えます。ヘッダ中の循環 的な補完機能は、以下のようにフィールドごとに異なります。

<ドメイン名の循環的な補完>

アドレスを書くべきフィールドでは、‘C-cTAB’ でドメインを補完します。 補完の候補は ‘mew-mail-domain-list’ から選ばれます。

To: kazu@‘C-cTAB

上記の場所のように候補が一意に定まらない場合は、 ‘mew-mail-domain-list’ の最初のドメイン名が挿入されます。

To: kazu@example.org‘C-cTAB

補完された後、さらに ‘C-cTAB’ を押すと ‘mew-mail-domain-list’ の次の候補に変換します。

To: kazu@example.jp

また、以下の補完が一意に定まれば、その候補を挿入します。

To: kazu@w‘C-cTAB

上記の例は次のようになります。

To: kazu@example.jp

<From: の循環的な補完>

草稿には、あらかじめ "mew-name <mew-user@mew-domain>" という形式で、 From: フィールドが挿入されています。

From: Kazu Yamamoto (山本和彦) <kazu@example.org>

From: フィールド上では、‘C-cTAB’ は ‘mew-from-list’ の値を循環 的に補完します。‘mew-from-list’ は自分で設定してもよいですし、自動 的に設定することも可能です。自動設定に関しては、See section 送受信の動作変化 を参照して 下さい。

値の場所ならどこでも構いませんが、‘C-cTAB’ と入力すると、 この値を ‘mew-from-list’ の次の値と置き換えます。たとえば、

From: Kazu Yamamoto (山本和彦) <kazu@example.org>‘C-cTAB

は以下のようになります。

From: Kazuhiko Yamamoto <kazu@example.jp>

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3.3 アドレスの補完

To: や Cc: では、アドレスを補完できます。補完には ‘TAB’ を用います。

To: kazu‘TAB

上記のように、アドレスの一部で ‘TAB’ を押すと、以下のようにアドレ スが補完される訳です。

To: kazu@example.org

アドレスの補完に利用されるアドレスの種類には、以下の 3 つがあります。

  1. アドレス帳の展開規則
  2. アドレス帳の個人情報
  3. 送信時に学習されたアドレス

アドレスの補完には 2 つの方法が提供されています。 ‘mew-use-full-alias’ によって選択します(初期値は ‘nil’)。

mew-use-full-alias’ が ‘nil’ の場合、‘@’ の前、つまりユー ザ名(短縮名)が補完の対象となります。‘TAB’ を押すとユーザ名が補完さ れ、補完しきったところでさらに ‘TAB’ を押すとアドレスに「展開」さ れます。これをアドレスの補完(1)と呼びましょう。

アドレスの補完(1)(See section アドレスの補完(1))の利点は、上に書いた 3 種類のアドレス に対し、補完・展開が矛盾なく実行できることです。後述のように、「強制展 開」も ‘TAB’ で実行できます。欠点は、ユーザ名の部分が一意でなけれ ばならないので、あるユーザ名が登録されている場合、同じユーザ名を持つ別 のアドレスを学習できないことです。

mew-use-full-alias’ が ‘t’ の場合、学習されたアドレスに関して は、アドレスの全体が補完の対象になります。これをアドレスの補完(2)と呼び ましょう。

アドレスの補完(2)(See section アドレスの補完(2))の利点は、ユーザ名が一致している複 数のアドレスを学習できることです。欠点は、アドレス帳の個人情報に登録さ れているアドレスの先頭以外は利用できないことです。また、「強制展開」は、 ‘M-C-e’ という (‘TAB’ とは別の) キーを押さなければいけないこ とです。


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3.4 アドレス帳

Mew ではアドレス帳("~/Mail/Addrbook")が利用できます。アドレス帳には 2 つ の書式が用意されています。一方は「展開規則」を指定する書式、他方は「個人 情報」を記述するための書式です。

まず、「展開規則」を記述するための書式を示します。

<shortname>: <address1>[, <address2>, <address3>,...]

このように短縮名と展開すべきアドレスを ‘:’ で区切って書きます。複数 のアドレスに展開する場合は、それらのアドレスを ‘,’ で区切ります。 (これは、To: などでアドレスが ‘,’ で区切られているのと同じです。) ‘,’ の後ろに空白を入れても構いません。以下に例を示します。

pooh:           winnie-the-pooh@example.net
piglet:         piglet@example.org
friends:        pooh, piglet

次に、「個人情報」を記述するための書式を示します。

<shortname> <address1>[, <address2>, <address3>,...] <nickname> <fullname>

このように 4 つの要素を空白で区切ります。<shortname> が短縮名です。 <nickname> と <fullname> はそれぞれニックネームと正式な氏名であり、日本 語でも構いません。(ニックネームの使い方は See section Summary mode と See section Draft mode を参照して下さい。)

2 番目の要素はアドレスです。複数のアドレスをその人が持っている場合は、 ‘,’ で区切って書きます。‘,’ の後に空白を入れても構いません。つ まり、この空白は要素の区切りではありません。また、‘"’ で囲まれた空 白も要素の区切りにはなりません。以下に例を示します。

kazu    kazu@example.org, kazu@example.net    Kazu-kun  "Kazuhiko Yamamoto"

「個人情報」の書式では、各要素を省略できます。中間の要素を省略する場合は、 ‘*’ と書いて下さい。以下に、アドレスに対してニックネームのみを定義 する例を示します。

*       kazu@example.org, kazu@example.net    Kazu-kun

ニックネームは Summary モードでのアドレスの置き換えと、Draft モードでの 引用記号の置き換え(See section シグニチャと引用)に利用されます。

アドレス帳のコメント文字は ‘;’ と ‘#’ です。‘;’ は行頭に ある場合のみコメントとなり、その行が無視されます。‘#’ は任意の場所 でコメントとなり、そこから行末までが無視されます。また、‘\’ は継続 行を表わします。

Summary モードには、現在読んでいるメッセージの情報を Addrbook に登録す る機能があります。展開規則を登録するには ‘C-cC-a’ と押して下さい。 以下に例を示します。

#If you want to register this entry, type 'C-c C-c'.
#If you want to NOT register this entry, type 'C-c C-q'.
Shortname: kazu
Addresses: kazu@example.org
Comments: 

個人情報を登録するには ‘C-uC-cC-a’ と押して下さい。以下に例を示します。

#If you want to register this entry, type C-c C-c.
#If you want to NOT register this entry, type C-c C-q.
Shortname: kazu
Addresses: kazu@example.org
Nickname: 
Name: Kazuhiko Yamamoto
Comments: 

必要であれば加筆訂正します。実際に登録するには ‘C-cC-c’、登録を取り 止める場合は ‘C-cC-q’ と入力して下さい。See section 一休み も参照して下さい。

なお、Addrbook に複数の言語の文字を使いたい場合は、以下の設定を Addrbook の先頭に記述して下さい。

#-*-coding:ctext;-*-

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3.5 アドレスの自動学習

メッセージを送信した場合、To: と Cc: に書かれているアドレスは、自動的に 学習されます。以下の例を考えて下さい。

To: kazu@example.org

アドレスの補完(1)(See section アドレスの補完(1))の場合:このメッセージを送信すると、 アドレス "kazu@example.org" に対し、短縮名 "kazu" が自動登録されます。ただ し、すでに "kazu" という短縮名が自動登録されているなら、 ‘mew-addrbook-override-by-newone’ の値に応じて上書きするかを決定し ます。‘nil’ なら古い設定を残し、それ以外なら上書きします。展開の際 は、アドレス帳の方が優先されます。ですから、アドレス帳に無い短縮名のみ が有効になります。

アドレスの補完(2)(See section アドレスの補完(2))の場合:このメッセージを送信すると、 アドレス "kazu@example.org" が自動登録されます。

自動登録されるのは通常 2000 個(‘mew-lisp-max-length’)のアドレスま でです。それを越えて登録するとアルファベット順で最後の方が消えます。こ れらの情報は Mew を終了する際に、"~/Mail/.mew-alias" に保存されます。

自動登録ですから、不要な短縮名も登録されます。不要な短縮名を削除するに は、以下のようにするといいでしょう。まず、‘M-a’ を実行し、 "~/Mail/.mew-alias" を開きます。次に、テキストファイルを編集する要 領で、不要な短縮名を削除します。そして、‘C-xC-s’ で保存して下さい。 保存と同時に、その内容が Mew に反映されます。

アドレスの補完(1)とアドレスの補完(2)では、"~/Mail/.mew-alias" の書式が 異なります。‘mew-use-full-alias’ の値を変え、方法を切り替えたら、 Summary モードで一回 ‘Z’ を押して下さい。これで、書式が変換されま す。


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3.6 アドレスの補完(1)

アドレスの補完(1)では、アドレス帳の展開規則、アドレス帳の個人情報、 および送信時に学習されたアドレスで登録されたアドレスは、 ユーザ名(短縮名)が一意であることが前提となっています。

たとえば、以下のように「展開規則」を設定したとします。

pooh:           winnie-the-pooh@example.net

Draft モードのヘッダ内で、かつ、アドレスを書くべきフィールド上で、しかも、 1 文字以上の文字列が前にある場所で ‘TAB’ を打つと、アドレスの短縮名 が補完されます。

To: piglet@example.org, 
        po‘TAB

このように ‘TAB’ を押すと、(他に候補が無ければ) "pooh" まで補完され ます。

To: piglet@example.org, 
        pooh‘TAB

もう一度 ‘TAB’ を押すと "winnie-the-pooh@example.net" に展開され ます。

To: piglet@example.org, 
        winnie-the-pooh@example.net

"@" で終る文字列は強制的に展開します。たとえば、以下のように似たような 短縮名があった場合を考えて下さい。

pooh:           winnie-the-pooh@example.net
pooh-pooh:      pooh-pooh@example.org

"pooh-" まで入力すれば、"pooh-pooh" まで補完できることは明らかです。し かし、"pooh" までだと、"pooh" を「展開」するのか、"pooh-pooh" まで補完 するのか分りません。"pooh" を "winnie-the-pooh@example.net" に強制的に 展開するには、以下のように ‘@’ を挿入し、‘TAB’ を押します。

To: pooh@‘TAB

強制展開は、‘@’ を挿入せず、‘M-C-e’ を押しても実行できます。

上記の説明は、送信時に学習されたアドレスにもあてはまります。

「個人情報」の書式では、アドレスが順に置き換えられていきます。以下の例 を考えて下さい。

kazu    kazu@example.org, kazu@example.net    Kazu-kun  "Kazuhiko Yamamoto"

kazu がどう変化するのか見てみましょう。

To: kazu‘TAB

"kazu" の後で ‘TAB’ を打つと、"kazu@example.org" に置き換わります。

To: kazu@example.org‘TAB

次に "kazu@example.org" の後で ‘TAB’ を打つと、"kazu@example.net" に 置き換わります。

To: kazu@example.net‘TAB

さらに "kazu@example.net" の後で ‘TAB’ を打つと、 "kazu@example.org" に戻ります。このように ‘TAB’ を押すと、アドレ スが循環的に置換されます。

アドレスを決定した後は、正式名称が付加できます。

To: kazu@example.org‘M-TAB

このように ‘M-TAB’ を押すと、以下のように正式名称が付加されます。

To: Kazuhiko Yamamoto <kazu@example.org>

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3.7 アドレスの補完(2)

アドレスの補完(2)では、学習されたアドレスに関しては、アドレス全体が補完 の対象になります。アドレス帳の展開規則は、短縮名が補完の対象になり、一 意に定まれば展開されます。アドレス帳の個人情報では、短縮名が補完の対象 になり、一意に定まれば、登録されている先頭のアドレスに展開されます。

Draft モードのヘッダ内で、かつ、アドレスを書くべきフィールド上で、しか も、1 文字以上の文字列が前にある場所で ‘TAB’ を打つと、短縮名ある いは学習されたアドレスが補完されます。

kazu@example.org を学習しているとしましょう。

To: ka‘TAB

曖昧でないところまで入力し、‘TAB’ を押せば、アドレスが補完されます。

To: kazu@example.org

さらに kazunori@example.jp を学習したとしましょう。kazu@example.org へ補 完するには kazu@ まで、kazunori@example.jp へ補完するには kazun まで 入力する必要があります。

展開規則と個人情報は、‘TAB’ により、まず短縮名が補完されます。短縮 名が一意に定まれば、‘TAB’ で展開できます。

たとえば、以下のように「展開規則」を設定したとします。

pooh:           winnie-the-pooh@example.net

短縮名 "pooh" を補完してみましょう。

To: po‘TAB

このように ‘TAB’ を押すと、(他に候補が無ければ) "pooh" まで補完され ます。

To: pooh‘TAB

もう一度 ‘TAB’ を押すと "winnie-the-pooh@example.net" に展開され ます。

To: winnie-the-pooh@example.net

問題は、短縮名が一意に定まらない場合の展開です。以下の展開規則を考えて 下さい。

pooh:           winnie-the-pooh@example.net
pooh-pooh:      pooh-pooh@example.org

"pooh-" まで入力すれば、"pooh-pooh" まで補完できることは明らかです。し かし、"pooh" までだと、"pooh" を「展開」するのか、"pooh-pooh" まで補完 するのか分りません。"pooh" を "winnie-the-pooh@example.net" に強制的に 展開するには、‘M-C-e’ を利用します。(‘TAB’ で強制展開する方法 はありません。)

To: pooh‘M-C-e

この例は、以下のように強制展開されます。

To: winnie-the-pooh@example.net

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3.8 メッセージの送信

メッセージを書き上げ、いよいよ送信するには、以下の 2 つのコマンドのどち らかを選んで下さい。

C-cC-m

メッセージを作成し +queue または +postq に入れ、送信待ち状態にする。

C-cC-c

メッセージを作成し送信する。"Really send this message? (y or n) " と訊か れる。‘y’ を押せば、送信される。

メッセージが送信される際にどう加工されるか説明します。以下のようなメッセー ジを考えて下さい。

To: pooh
Subject: 明日の日曜日
From: Piglet <piglet@example.org>
X-Mailer: Mew version 6.5 on Emacs 22.3
----
明日の日曜日、遊びませんか?

// ピグレット

たとえば、‘C-cC-m’ でこのメッセージを +queue あるいは +postq に入れ ると、メッセージは以下のように加工されています。

Date: Mon, 13 Mar 2000 19:49:50 +0900 (JST)
Message-Id: <20000313.194950.59499544.piglet@example.org>
To: winnie-the-pooh@example.net
Subject: =?iso-2022-jp?B?GyRCTEBGfCRORnxNS0Z8GyhC?=
From: Piglet <piglet@example.org>
X-Mailer: Mew version 6.5 on Emacs 22.3
Mime-Version: 1.0
Content-Type: Text/Plain; charset=iso-2022-jp
Content-Transfer-Encoding: 7bit

明日の日曜日、遊びませんか?

// ピグレット

Date: や Message-Id: が付加されたのはお分かりになるでしょう。Subject: に あった日本語は、配送に安全となるよう ASCII コードに変換されています。ま た、本文のデータ型や文字コードが推測され、正しく付加されていることは特筆 すべきでしょう。

C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ でメッセージを作成するとき、ヘッダに不備 があった場合に注意を促してくれる機能があります。

mew-ask-subject’ を ‘t’ にしておけば、Subject: が空のときに値 を尋ねてくれます。空のままにしたい場合は単純に ‘RET’ を押して下さい。 この変数の初期値は ‘nil’ です。

mew-ask-fcc’ を ‘t’ にしておけば、Fcc: に存在しないフォルダが 指定してある場合、そのフォルダを作成するか尋ねてくれます。作るなら ‘y’、作らないなら ‘n’ を押して下さい。‘n’ を押すと、送信 が中止され、カーソルは草稿に戻ります。この変数の初期値は ‘nil’ です。

Mew は、サーバがユーザ認証を要求すると、送信のためのパスワードをユーザ に訊きます。長い間、メールの送信にはパスワードが必要ありませんでした。 これが、メールアドレスを詐称できる原因の一つとなっています。これからは、 メールの送信の際は、受信のときと同じように、パスワードが必要な時代にな ります。

+queue に溜っているメッセージを送信するには、以下の 2 つの方法があります。 どちらも Summary モードのコマンドであることに注意しましょう。

i

mew-auto-flush-queue’ が ‘t’ の場合は、メッセージを受信した後 に、+queue にあるメッセージを送信する。ダイアルアップ環境において、接続 料金を節約する意味でも、送信のための認証という意味でも、これはよい方法。 ‘mew-auto-flush-queue’ の初期値は ‘t’。

C-cC-c

+queue にあるメッセージを送信する。+queue に行って、できあがったメッセー ジを見た後に、このコマンドを使うと便利。‘mew-ask-flush-queue’ が ‘t’ なら、"Flush queue? (y or n) " と訊かれる。 ‘mew-ask-flush-queue’ の初期値は ‘nil’。


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3.9 シグニチャと引用

ここでは、本文のテキストを便利に処理するコマンドについて述べます。

まずシグニチャについてです。カーソルのある場所に "~/.signature" を挿入す るコマンドは ‘C-cTAB’ です。シグニチャファイルは、 ‘mew-signature-file’ で設定できます。 ‘mew-signature-as-lastpart’ や ‘mew-signature-insert-last’ を 設定することで、‘C-cTAB’ の動作をカスタマイズできます。

C-cTAB

カーソルの位置に "~/.signature" を挿入する。

次に引用についてです。Summary モードの ‘a’ や ‘A’ を使ってメッ セージに返答するための草稿を用意すると、Emacs が 3 分割されます。上が現在 の Summary モード、中が Message モード、下が Draft モードです。

Message モードのテキストを引用するコマンドを以下に示します。

C-cC-y

Message モードからメッセージの一部をコピーし、引用ラベルと引用記号付で貼 り付ける。

  1. おおまかにいえば、Message モードの本文がコピーされる。たとえば、 Text/Plain が表示されていると、Message モード全体がコピーされる。 Message/Rfc822 が表示されている場合は、ヘッダを除いた本文がコピーされる。
  2. C-uC-cC-y’ では、ヘッダがあればヘッダをコピーする。
  3. Emacs のマークがあると、そのマークとカーソルの間が対象となる。
C-cC-t

Message モードからメッセージの一部をコピーし、引用ラベルと引用記号なしで 貼り付ける。

引用ラベルと引用記号の初期値は、以下のようになります。

From: SUMIKAWA Munechika <sumikawa@ebina.hitachi.co.jp>
Subject: Wine
Date: Wed, 23 Jul 1997 11:40:50 +0900

> おはようからおやすみまでニートでおなじみの角川です。
> 
> さて、とろけるワイン作戦ですが、定石通り '90 のボルドーの
> カベルネ・ソービニョンを狙いたいと思います。

Draft モードでは Message モードに表示されているものならなんでも引用でき ます。つまり、複数のメッセージを簡単に引用できるのです。引用したいメッセー ジを表示させて、本文を引用する手順を、引用したいメッセージの回数だけ繰り 返して下さい。そのための 3 分割です。

本文やヘッダの色付けがおかしくなった場合、‘C-cC-l’ を実行することで、 色付けをやり直すことができます。


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3.10 マルチパートの作成

さて、ここでマルチパートの作り方を披露しましょう。

たとえば、+draft/1 でメッセージを書いているときに、‘C-cC-a’ と入力 すると、草稿の一番下に

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/     
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
     2                                                          .   
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

という行が挿入されます。"1/" はマルチパートを構築するための一時的なディ レクトリで、実体は "~/Mail/attach/1" です。パート 1 の CoverPage は本 文を意味します。ここで Draft モードは次のようになっているでしょう。

To: mew-dist
Subject: ここがヘッダ
From: Kazu Yamamoto <kazu@example.org> 
X-Mailer: Mew version 6.5 on Emacs 22.3
----
本文だよ。

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/     
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
     2                                                          .   
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

3 つの領域を以下のように呼ぶことにします。

Draft モードでは、リージョンによってキー割当が違います。

たとえば、‘TAB’ は以下のようになります。

ヘッダ

さまざまな補完。

本文

TAB の挿入。

添付領域

なにもしない。

c’ だと以下のようになります。

ヘッダ

c を挿入。

本文

c を挿入。

添付領域

ファイルのコピー。

以下、添付領域でのキー割当です。

C-p

現在のディレクトリの前のファイルへ移動。

C-n

現在のディレクトリの後のファイルへ移動。

C-f

1 番目のサブディレクトリに移動。

C-b

親ディレクトリに移動。

c

ファイルのコピー。"." 上で有効。ネットワーク経由でも可。リモートのファイ ルをコピーする場合は、"/[user@]hostname:/filepath" の形式でファイルを指 定。

l

ファイルへシンボッリクリンクを張る。"." 上で有効。添付ファイルを ‘f’ を使って読み込んで編集する場合は、実体を編集してしまわないよう に、‘l’ ではなく ‘c’ でコピーすべき。

d

ファイルとディレクトリの消去。

m

サブディレクトリ(つまりマルチパート)の作成。"." 上で有効。

f

ファイルをバッファに読み込む。

F

新規ファイルをバッファに読み込む。"." 上で有効。

y

Message モードに表示されているメッセージにリンクを張る。"." 上で有効。

e

external-body の入力。"." 上で有効。

a

音をサンプリングしオーディオファイルとして挿入。"." 上で有効。

p

入力されたユーザの PGP 公開鍵を取り出す。"." 上で有効。

D

ちょっとした説明(Content-Description:)の入力。

T

データ型(Content-Type:)の変更。

t

データ型に関し、テキストとバイナリを反転させる。

I

Text/* 型の入力 coding-system を指定する。

C

Text/* 型の出力 coding-system を指定する。

P

受信側でこのパートを保存する際のファイル名(Content-Disposition:)の変更。 ファイル名の入力の際に、単に ‘RET’ を押すと値が消える。そして、送信 側のファイル名が ‘*’ と共に表示される。

添付領域では、ファイルの拡張子によってデータを取り扱います。現在サポート している拡張子は以下の通りです。

.txt       Text/Plain
.html      Text/Html
.xml       Text/Xml
.rtf       Text/Enriched
.css       Text/Css
.sgml      Text/Sgml
[0-9]+     Message/Rfc822
.ps        Application/Postscript
.pdf       Application/Pdf
.doc       Application/Msword
.xls       Application/Vnd.Ms-Execl
.ppt       Application/Vnd.Ms-Powerpoint
.vsd       Application/Vnd.Visio
.dat       Application/Ms-Tnef
.tar|.tar.|.gz|.Z|.taz|.tgz|.bz2?|.lzh|.zip|.bin|.pgp|.gpg|.exe|.dll
           Application/Octet-Stream
.gif       Image/Gif
.tiff      Image/Tiff
.jpe?g     Image/Jpeg
.png       Image/Png
.xwd       Image/X-Xwd
.xbm       Image/X-Xbm
.xpm       Image/X-Xpm
.bmp       Image/X-Bmp
.pcx       Image/X-Pcx
.tga       Image/X-Tga
.au        Audio/Basic
.wav       Audio/X-Wav
.aif?f     Auido/X-Aiff
.midi?     Auido/X-Midi
.mpga|.mp[23]  Audio/X-Mpeg
.mpe?g     Video/Mpeg
.mov       Video/Quicktime
.avi       Video/X-Msvideo

コピーするときのファイル名は、適切なデータ型を推測できるよう拡張子に気 を付ければなんでもよいです。もし、該当する拡張子がない場合、 ‘mew-content-type’ で指定されるデータ型が選ばれます。初期値は、 Text/Plain(テキスト)です。

c’ でファイルをコピーすると、たとえば次のようになります。

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/     
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
B    2  Image/Gif                    MagicPoint のロゴ          mgp.gif
Q    3  Application/Postscript       資料                       ohp.ps
     4                                                          .
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

各行は、

から構成されています。

データ型(Content-Type:)は ‘T’ によって変えられます。データ型がテキ スト(Text/Plain)かバイナリ(Application/Octet-Stream)の場合は、‘t’ によって一方を他方へ反転できます。

マーク(Content-Transfer-Encoding:)を変更する方法は、See section マークを使った電子署名/暗号メールの作成 を参照して下さい。説明(Content-Description:)は ‘D’ で入力できます。 この説明のカラムは、See section マークを使った電子署名/暗号メールの作成 で説明する暗号化の際に上書きされ ます。

第 5 カラムに表示されるのは、実際にはコピーしたファイル名か Content-Disposition:、つまり、受信者がそのパートを保存する際のファイル 名です。Content-Disposition: の値があれば、それが表示されます。なけれ ば、コピーしたファイル名に ‘*’ を付加して表示します。ファイルをコ ピーした際の Content-Disposition: の値は、コピーしたファイル名が指定さ れています。ただし、Message/* と Multipart/* には Content-Disposition: は設定されません。Message/* の Content-Disposition: を指定するには、 ‘P’ を利用して下さい。

ファイルはシングルパートに、ディレクトリはマルチパートに対応します。で すから、ファイル構造を作っていく感覚で複雑なマルチパートを作成できます。 簡単でしょ?

ディレクトリに対するデータ型の初期値は、一般的なマルチパート (Multipart/Mixed)です。これも ‘T’ によって変更できます。

お好みのマルチパートが作成できたら、前節で述べたように ‘C-cC-m’ か ‘C-cC-c’ を利用してメッセージを送信して下さい。

パートの実体が外部にある external-body を作成するコマンド ‘e’ につい て説明しましょう。access-type に ftp か anon-ftp を入力するときは、 ange-ftp のおかげでリモートのファイル名が補完できます。access-type が local-file の場合は、もちろんファイル名を補完できます。

もし、マルチパートの作成途中でやっぱりシングルパートに戻したくなったら、 一番上のマルチパート部分で ‘d’ を押して下さい。


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3.11 文字コードの決定

Mew はシングルパートとマルチパートの両方に対し、配送時の文字コードを決定 する機能を持っています。

<シングルパート>

Draft モードで ‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ と入力しメッセージを作成す ると、Mew は本文の内部表現から配送時の文字コードを決定します。バイリンガ ル Emacs では、7 ビットの文字コードに対し US-ASCII を選び、8 ビットの文字 コードに対し ISO-8859-1 を選択します。国際化 Emacs では、内部表現から Mew が定めた規則に従って、配送時の文字コードを決定します。

<マルチパート>

マルチパートの一部として添付するデータは、ファイルですからディスク上に存 在します。そこで、メッセージの作成の際に、配送時の文字コードを決定するた めには、まず Emacs のバッファに取り込み、内部表現に直す必要があります。 内部表現に直した後は、シングルパートと同様の方法で、配送時の文字コードを 決定します。

バイリンガル Emacs では、Mew はファイルをそのままの形式で読み込みます。 ですから、7 ビットのファイルには US-ASCII が、8 ビットのファイルには ISO-8859-1 が選ばれます。

国際化 Emacs では、Mew は環境(つまり auto conversion)に従って、文字コー ドを推測しながらファイルを読み込みます。国際化 Emacs でこの環境を決定す るコマンドは、‘C-x RET l’ です。

たとえば、日本語の環境では、国際化 Emacs は ISO-2022-JP、EUC-JP、そして、 Shift_JIS を見事に推測し、日本語用の内部表現に変換してバッファに格納しま す。Mew はこの内部表現から、配送時の文字コードとして ISO-2022-JP を選択 します。つまり、ファイルの文字コードが EUC-JP や Shift-JIS であっても、 配送用の ISO-2022-JP に自動的に変換されます。そこでユーザは、添付するファ イルの文字コードを気にすることなしに、ファイルを添付可能です。

もし、ディスク上のファイルの coding-system を明示的に指定したいなら ‘I’ を使って下さい。これを入力文字コードと呼ぶことにします。また、 配送時の coding-system を明示的に指示したいなら、‘C’ を利用して下 さい。

文字コードの情報は、添付領域において、丸括弧の内側に表示されます。もし、 配送時の文字コードが明示的に指定されていれば、それが表示されます。そうで なくて、入力文字コードが明示的に指定されていれば、それが "*" と共に表示 されます。そうでなければ、"guess" と表示されます。

以下の例の見て下さい。パート 1 は、本文ですからあらかじめバッファ内にあり ます。"guess" と表示されていますから、配送時の文字コードを Mew が定めた 規則に従って決定します。

パート 2 は、入力文字コードとして iso-8859-1 が指定されていますので、ファ イルの文字コードを iso-8859-1 であるとして読み込み、内部表現に変換します。 配送時の文字コードは Mew が定めた規則に従って決定します。

パート 3 の入力文字コードは、この例だけからだと明示的に指定されているか 分かりません。(しかし、ユーザ自身はは実際に指定したか分かっているはずで す。) とにかく、ファイルは内部表現に直され、配送時の文字コードに指定され ている EUC-JP に変換されます。

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/     
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
     2  Text/Plain(*iso-8859-1)                                 text1
B    3  Text/Plain(euc-jp)                                      text2
     4                                                          .    
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

バイリンガル Emacs では ‘C’ と ‘I’ は利用できません。


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3.12 長い行の取り扱い

長い間、メッセージに書く文章は、自分自身で各行を(英文字で)70文字程度に 折り返すべきだとされてきました。RFC 3676 で Text/Plain が拡張され、 format パラメータに flowed という値が定義されました。

このおかげで、送り側で長い行を目印を付けて折り返し、受け取り側で長い行 に戻せるようになりました。ユーザの目から見れば、メッセージに長い行を気 軽に書いてもよくなったということです。

Mew で、長い行を flowed で折り返すには 2 つの方法があります。

1) 明示的に折り返すには、‘C-cC-f’を実行します。

このコマンドは、草稿に長い行があるかを調べます。 ‘mew-flowed-fold-threshold’ を越える行が見つかったら、flowed で 折り返しを実行します。この変数の値は 78 です。

折り返した行が、何文字以内になるかを制御する変数が ‘mew-flowed-fold-length’です。初期値は 70 です。

折り返す方法は、文字コードによって変わります。分かち書きをする文字コー ドでは、既存の空白文字の後に改行文字を入れて折り返します(delsp=no)。分 かち書きをしない文字コードでは、適切な場所に空白文字と改行文字の両方を 挿入して折り返します(delsp=yes)。

もう一度 ‘C-cC-f’ を実行すると、折り返された行が元に戻ります。

2) ‘mew-use-format-flowed’ が ‘t’ の場合は、‘C-cC-c’や ‘C-cC-m’でメッセージを作成するときに、この機能が働きます。この変数 の初期値は ‘nil’ です。

3) ‘C-cC-pC-f’ で、‘mew-use-format-flowed’ の値を反転できます。

なお、メッセージを表示する際は、‘mew-use-format-flowed’ の値に関係 なく flowed で折り返された行は、元に戻されます。長い行が見にくい場合は、 Summary モードで ‘_’ を利用しましょう。

mew-flowed-auto-wrap’ が ‘t’ の場合、メッセージを表示すると、 元に戻された行に一回 ‘_’ が実行され、折り返された状態で表示されま す。‘mew-flowed-auto-wrap’ のデフォルトの値は ‘t’ です。


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3.13 メッセージへの返答と宛先の決定

新規にメッセージを書く場合は、To:、Cc:、および Newsgroups: を自分で書く ことになります。一方 Summary モードで ‘a’ や ‘A’ を使って、あ るメッセージに返答しようとすると、To:、Cc:、Newsgroups: は自動的に用意さ れます。

Summary モードで ‘a’ や ‘A’ を使うと、新しい草稿が Draft mode に用意されます。To:、Cc:、Newsgroups: の値は、以下の三つの alist に従っ て用意されます。

  1. もし ‘C-u’ 付きで呼び出された場合、送信者/投稿者のみに返答する。こ の場合、‘mew-reply-sender-alist’ が利用される。
  2. もし対象が自分自身で送ったメッセージなら、そのヘッダを加工せずに返答した いのであろう。この場合、‘mew-reply-fromme-alist’ が利用される。
  3. そうでなければ、すべての人に返答する。この場合、 ‘mew-reply-all-alist’ が利用される。

mew-reply-sender-alist’ の初期値は以下の通りです。

'(("Reply-To:"
   ("To:" "Reply-To:" "From:"))
  (t
   ("To:" "From:")))

これは、次のように解釈します。

  1. Reply-To: が存在すれば、Reply-To: と From: の値を新しい To: へコピーする。
  2. そうでなければ、From: の値を新しい To: へコピーする。

もし、Reply-To: で指定されたアドレスのみに返答したい場合は、 ‘mew-reply-sender-alist’ を以下のように設定するとよいでしょう。

(setq mew-reply-sender-alist
      '(("Reply-To:"
         ("To:" "Reply-To:"))
        (t
         ("To:" "From:"))))

mew-reply-fromme-alist’ の初期値は以下の通りです。

'((t
   ("To:" "To:")
   ("Cc:" "Cc:")
   ("Newsgroups:" "Newsgroups:"))))

これは、次のように解釈します。

  1. To: の値を新しい To: へ、 Cc: の値を新しい Cc: へ、 Newsgroups: の値を新しい Newsgroups: へコピーする。

mew-reply-all-alist’ の初期値は以下の通りです。

'((("Followup-To:" "poster")
   ("To:" "From:"))
  ("Followup-To:"
   ("Newsgroups:" "Followup-To:" "Newsgroups:"))
  ("Newsgroups:"
   ("Newsgroups:" "Newsgroups:"))
  ("Reply-To:"
   ("To:" "Reply-To:" "From:")
   ("Cc:" "To:" "Cc:" "Apparently-To:"))
  (t
   ("To:" "From:")
   ("Cc:" "To:" "Cc:" "Apparently-To:")))

これは、次のように解釈します。

  1. Follwup-To: の値が "poster" であれば、From: の値を新しい To: へコピーす る。
  2. Follwup-To: が存在すれば、Follwup-To: と Newsgroups: の値を新しい Newsgroups: へコピーする。
  3. Newsgroups: が存在すれば、Newsgroups: の値を新しい Newsgroups: へコピー する。
  4. Reply-To: が存在すれば、Reply-To: と From: の値を新しい To: へコピーする。 また、To:、Cc:、Apparently-To: の値を新しい Cc: へコピーする。
  5. そうでなければ、From: の値を新しい To: へコピーする。また、To:、Cc:、 Apparently-To: の値を新しい Cc: へコピーする。

mew-reply-all-alist’ を以下のように設定したいと思う人もいるかもし れません。

(setq mew-reply-all-alist
      '((("Followup-To:" "poster")
         ("To:" "From:"))
        ("Followup-To:"
         ("Newsgroups:" "Followup-To:"))
        ("Newsgroups:"
         ("Newsgroups:" "Newsgroups:"))
        ("Reply-To:"
         ("To:" "Reply-To:"))
        (t
         ("To:" "From:")
         ("Cc:" "To:" "Cc:" "Apparently-To:"))))

あるアドレスが複数ある場合は、自動的に 1 つになります。また、匿名の宛先 を表す ":;" で終るアドレスも、自動的に消去されます。

自分のアドレスは自動的に消去されます。自分のアドレスは、 ‘mew-config-alist’ などから ‘mew-mail-address-list’ に自動設定 されます。この値が気に入らないなら、以下のように明示的に設定することも可 能です。

(setq mew-mail-address-list
       '("^pooh@[a-z]*.example.org$"
         "^pooh@example.net$"
         "^winnie@example.jp$"))

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3.14 メッセージの転送

メッセージを転送するには、Summary モードで ‘f’ や ‘F’ を利用し ます。すると、Draft モードに移行し、あらかじめメッセージが添付領域に添付 された草稿が準備されます。

また Draft モードで添付領域を用意し、メッセージをコピー(‘c’)したり メッセージにリンク(‘l’)を張ったりしても、メッセージを転送できます。 ファイル名が数字([0-9]+)の場合は、自動的にメッセージだと判断されます。ま た、添付領域で ‘y’ を使うと、Message モードに表示しているメッセージ にリンクを張るので便利です。

通常は添付したメッセージの全体が転送されます。もし、ヘッダの一部を削りた い場合は、‘mew-field-delete-for-forwarding’ を定義して下さい。以下 に "Received:" と "Return-Path:" を転送時に削るための設定例を示します。

(setq mew-field-delete-for-forwarding '("Received:" "Return-Path:"))

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3.15 メッセージの再送

メッセージのヘッダの一部のみを変更して、送信したい場合があります。

たとえば、同じ内容のメッセージを、複数の宛先に独立して送りたい場合です。 pooh 宛のメッセージを作成して、+queue に入れ、すぐさまそのメッセージをコ ピーし、宛先だけを piglet に変更したい場合を想像して下さい。これを、メッ セージの再利用による送信と呼びましょう。

また、メッセージに Resent-To: というフィールドを付けて再送したいこともあ ります。これは、転送の一種です。こちらはヘッダだけ書き直すので、ヘッダ変 換といいます。前節で説明した転送は、メッセージを新規のメッセージに包み込 んで転送するため、カプセル化と呼ばれています。

ヘッダの一部だけを編集し、メッセージを送信したり、キューに入れたりするモー ドとして、Header モードが用意されています。本文が編集できない Draft モー ドだと思えばいいでしょう。

Header モードに入るために、Summary モードには以下のコマンドが用意されて います。

W

メッセージの再利用による送信。対象となるメッセージの To:、Cc:、From: な どを書き換えるために、Header モードに移行する。典型的には、+queue または +postq に入っているメッセージに対して利用する。

r

メッセージの再送。対象となるメッセージのヘッダに、Resent-To:、Resent-Cc:、 Resent-From: などを追加するために、Header モードに移行する。再送によるメッ セージの転送は、受信者を混乱させることがあるので、よく考えてから利用する こと。

Header モードでは、Draft モードのように、補完や循環的な補完が利用できま す。ヘッダの入力が終わったら、以下のどちらかのコマンドを用いて、メッセー ジを送信して下さい。本文が表示されていないので不安かもしれませんが、ちゃ んと対象となっているメッセージの本文とヘッダの一部が再利用されます。

C-cC-m

メッセージを作成し +queue または +postq に入れ、送信待ち状態にする。

C-cC-c

メッセージを作成し送信する。"Really send this message? (y or n) " と訊か れる。‘y’ を押せば送信される。


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3.16 電子署名/暗号メールを作成する

ここでは、テキストである本文を PGP や S/MIME で署名したり暗号化したりす る方法について説明します。紹介するコマンドは以下の通りです。

C-cC-s

草稿全体を署名する。パスフレーズを入力すること。

C-cC-e

草稿全体を暗号化する。

C-cC-b

草稿全体を署名後暗号化する。パスフレーズを入力すること。

C-cC-r

草稿全体を暗号化後署名する。パスフレーズを入力すること。

メッセージを暗号化するには受信者の公開鍵を使用します。逆に署名するには 自分の秘密鍵を使います。よって、署名するためにはパスフレーズを入力する 必要があります。ただし、パスフレーズの保存機能やマスターパスワードを使っ ており、パスフレーズが保存されている場合は、パスフレーズを入力する必要 はありません(See section パスワード)。

これらのコマンドは、通常 PGP/MIME を作成します。S/MIME を作成したい場合 は、以下のように設定して下さい。

(setq mew-draft-privacy-method 'smime)

この変数の値は、Draft モードの ‘C-cC-pC-m’ でも変更できます。

上記4つのコマンドは、次節で説明するマークを使った作成方法の省略方法に当 たります。

メッセージに署名を施すには、‘C-cC-s’ と入力します。署名の際には、自 分の秘密鍵を復号化する必要がありますので、パスフレーズがキャッシュされて いなければ、入力を促されます。署名が施されたメッセージは、+queue または +postq に格納されます。

自分の秘密鍵は、From: にあるアドレスを元に特定されます。From: がない場 合は、デフォルトの秘密鍵が選択されます。From: にあるアドレスとは違うア ドレスで秘密鍵を指定したい場合は、‘C-uC-cC-s’ と入力して下さい。

メッセージを暗号化するには、‘C-cC-e’ とタイプして下さい。To: や Cc: からアドレスを切り出して、その受信者が復号化できるよう暗号化します。暗号 化するだけのなので、パスフレーズを訊かれることはありません。作成されたメッ セージは、+queue に格納されます。

このメッセージは、受信者の公開鍵に加えて、自分の公開鍵でも暗号化されてい ます。ですから、作成したメッセージを復号化できます。たとえば、‘g’ で +queue に移動し、念のため復号化して確認することが可能です。

署名後暗号化するには、‘C-cC-b’ と入力します。暗号化後署名するには、 ‘C-cC-r’ とタイプします。どちらの場合も作成されたメッセージは、 +queue に蓄えられます。

署名を施したり、暗号化したりしてメッセージを送ろうと思っていても、うっ かり忘れることがあります。これを防ぐために、メッセージを作成するコマン ド ‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ を実行すると、自動的に署名や暗号化を 施す機能があります。

作成するすべてのメッセージのプライバシを保護したいなら、 ‘mew-protect-privacy-always’ を ‘t’ にして、 ‘mew-protect-privacy-always-type’ に利用したいサービスを設定します。

暗号化されたメッセージに対する返答メッセージのプライバシを保護したいなら、 ‘mew-protect-privacy-encrypted’ を ‘t’ にして、 ‘mew-protect-privacy-encrypted-type’ に利用したいサービスを設定しま す。この設定は、暗号化されたメッセージへの返答する場合、上記のすべてのメー ルに対する設定よりも優先されます。

以下に利用できるサービスを示します。かっこ内はそれぞれのサービスを表すシ ンボルです。‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ と入力する際に利用されるサー ビスは、モードラインに表示されます。

pgp-signature (PS)

PGP で署名

pgp-encryption (PE)

PGP で暗号化

pgp-signature-encryption (PSPE)

PGP で署名後暗号化

pgp-encryption-signature (PEPS)

PGP で暗号化後署名

smime-signature (SS)

S/MIME で署名

smime-encryption (SE)

S/MIME で暗号化

smime-signature-encryption (SSSE)

S/MIME で署名後暗号化

smime-encryption-signature (SESS)

S/MIME で暗号化後署名

以下の例は、すべてのメッセージに対し署名する設定です。

(setq mew-protect-privacy-always t)
(setq mew-protect-privacy-always-type 'pgp-signature)

以下の例は、暗号化されたメッセージへの返答メッセージに対し、PGP で暗号 化する設定です。

(setq mew-protect-privacy-encrypted t)
(setq mew-protect-privacy-encrypted-type 'pgp-encryption)

Draft モードでは、‘C-cC-pC-a’ で ‘mew-protect-privacy-always’、 ‘C-cC-pC-e’ で ‘mew-protect-privacy-encrypted’ の値を反転でき ます。

Draft モードにおいて現在書いている草稿に対してのみあらかじめサービスを指定 しておき、送信時にサービスを施すことを忘れないようにできます。現在の草稿 に対し ‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ で施されるサービスを指定するには、 ‘C-cC-pC-d’ に続いて上記のサービスの 1 つを入力して下さい。現在のサー ビスをキャンセルするには、サービス名の代りに単に ‘RET’ を押して下さ い。

C-cC-c’ や ‘C-cC-m’ でメッセージを作成する際、署名や暗号化に 失敗したら、草稿に戻ります。このとき指定していたサービスはキャンセルされ ます。続けて ‘C-cC-c’ や ‘C-cC-m’ でメッセージを作成すると、普 通のメッセージが作成されるので気をつけて下さい。問題を取り除いた後、同じ サービスを望むなら、明示的に ‘C-cC-pC-d’ でサービスを指定するか、 ‘C-cC-s’、‘C-cC-e’ などを用いて下さい。

mew-use-old-pgp’ を ‘t’ に設定すれば(初期値は ‘nil’)、 ‘C-cC-s’ や ‘C-cC-e’ は PGP/MIME の代りに、古い PGP の書式に従っ てメッセージを生成します。添付領域がある場合は、エラーになります。

上記で説明した ‘mew-protect-privacy-*’ は、PGP/MIME のみに有効であ り、古い PGP には機能しません。‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ で常に 古い PGP の署名を施すには、‘mew-protect-privacy-with-old-pgp-signature’ を ‘t’ にして下さい。


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3.17 マークを使った電子署名/暗号メールの作成

PGP/MIME、S/MIME、および ZIP をサポートするために、マークを使った作成方 法が提供されています。以前の例を思い出してみましょう。

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/     
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
B    2  Image/Gif                    MagicPoint のロゴ          mgp.gif
Q    3  Application/Postscript       資料                       ohp.ps
     4                                                          . 
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

行頭に ‘B’ や ‘Q’ といったマークがあります。このマークは符号 化を意味しています。Mew では、新しい概念「符号化」を導入しています。符 号化には、Base64、Quoted-Printable、Gzip64 (Gzip + Base64)、署名、暗号 化などがあります。

現在次の 8 つのマークがサポートされています。

" "

符号化しない。ただし、8 ビットのテキストは符号化されるかもしれない。

B

Base64

Q

Quoted-Printable

G

Gzip64(gzip 圧縮し Base64 で符号化する。Mew が実験的に採用している。相手 が Mew を使っていない場合は、使用すべきではない。)

PS

PGP で電子署名。

PE

PGP で暗号化。

SS

S/MIME で電子署名。

SE

S/MIME で暗号化。

添付領域でのマークに関係する新しいキー割当は以下の通りです。

B

Base64 で符号化するため ‘B’ マークを付ける。

Q

Quoted-Printable で符号化するため ‘Q’ マークを付ける。

G

Gzip64 で符号化するため ‘G’ マークを付ける。ただし、Text/Plain と Application/Postscript でしか実行できない。これ以外の型には圧縮は無意味 である。なぜなら、jpeg などはあらかじめ圧縮されているから。

S

PGP で署名するため ‘PS’ マークを付ける。

E

PGP で暗号化するため ‘PE’ マークを付ける。受信者のアドレスを入力す る。

M-s

S/MIME で署名するため ‘SS’ マークを付ける。

M-e

S/MIME で暗号化するため ‘SE’ マークを付ける。受信者のアドレスを入 力する。

Z

ZIP で直ちに暗号化する。暗号化された後は、‘B’マークが付く。

U

符号化を元に戻す。元々のマークに戻る。

次の例を考えてみましょう。パート 2 は PGP で署名され、"kazu" 用に PGP で 暗号化されます。安心して下さい。説明の部分は上書きされていますが、保存さ れています。パート 3 は Gzip64 で符号化されます。

----------------------------- attachments -----------------------------
      Multipart/Mixed                                         1/
     1  Text/Plain(guess)                                       CoverPage*
PSPE 2  Image/Gif                    kazu@example.org          mgp.gif
G    3  Application/Postscript       資料                       ohp.ps
     4                                                          .
--------0-1-2-3-4-5-6-7-8-9--------------------------------------------

マークを付けた後は、‘C-cC-m’ や ‘C-cC-c’ を使って、メッセージ を作成して下さい。


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3.18 PGP の鍵の配布

PGP の公開鍵を配布するには、Draft モードの添付領域で ‘p’ を押して下 さい。だれの公開鍵を配布するか尋ねられます。自分の公開鍵であれば、単に ‘RET’ と入力して下さい。他人の公開鍵であれば、補完を利用しながらそ の人のアドレスを入力して下さい。PGP の公開鍵は、Application/Pgp-Keys と いうデータ型で配送されます。

Summary モード、あるいは、Virtual モードでメッセージを読んでいる際に、あ るパートのデータ型が Application/Pgp-Keys であれば、Mew は PGP の公開鍵 リングにそれを登録しようとします。Mew は、「信用度」と「有効性」を全く考 慮しないことに注意して下さい。これらの値を設定するのは、あなた自身です。 設定は Mew が表示する説明に従って下さい。もし、「信用度」と「有効性」 の意味が分からなければ、PGP を使って自分のプライバシを保護しようとする前 に、PGP が提供する「信用の輪」とは何かを学ぶべきです。


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3.19 宛先を匿名にしたメッセージの送信

宛先を匿名にして、複数の受信者にメッセージを送信したいことがあります。

たとえば、pooh がパーティーへのお誘いを複数の友達に送ることを考えて下さ い。パーティーへ参加するという piglet からの返事は、pooh のみに送るべき です。しかし、To: にたくさんの友達を列挙していると、piglet は誤って多く の人に返答を送りつけてしまうかもしれません。そもそも、pooh は誰を誘った のか、当日までふせておきたいこともあるでしょう。

このような要望を実現するために、Mew では匿名の宛先として、":;" を利用し ます。以下の例を見て下さい。

To: party:piglet@example.org,roo@example.org;
From: Pooh <winnie-the-pooh@example.net>

"party" という説明文字列の後に ":" があります。そして、いくつかアドレス が "," で区切られながら列挙され、";" で終端されています。このような形式 でアドレスを書くと、Mew は ":" と ";" のアドレスにメッセージを届けますが、 ヘッダからは削り取ります。この例では、piglet と roo は以下のようなメッセー ジを受け取ります。

To: party:;
From: Pooh <winnie-the-pooh@example.net>

受信者はこのヘッダから、送信者は pooh であることは分かりますが、自分以外 の誰に送られたのかは、想像するほかありません。また、"party:;" という文字 列は、アドレスではありませんから、ここに返答することも不可能です。

なお、To: や Cc: にたくさんのアドレスを列挙することは、本質的によいこと ではありません。特定の人にメッセージを何度も送信する機会があるなら、通常 メーリングリストを作成します。


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